大人になった君へ
親愛なる両親へ。
『普通の人間が一番怖い』
わたしが常日頃感じていることです。
どうして人は人を憎むのでしょうか。
そして、どうして人は人を愛するのでしょうか。
わたしは生まれてからこれまで周りに恵まれて生きて来たと感じました。
自分をこよなく愛してくれる両親。
くるくる変わるよく映える表情。
優しい心の中に眠る燃えたぎる情熱。
多彩な考え方を持つ七色の頭脳。
しかし、これらの全てに対して、紅い色で染まった血の様に真っ黒い暗闇の中で生きているという人も居ることを知りました。
話は変わりますが、わたしは生まれてこの方、自分から他人に対して嫌がらせや嫌味、妬み、嫉みなどの負の感情を露わにした事は一度もありません。
もし、あったとしても落とし所を見つけ、自分の中で精査をし、相手を尊重する気持ちで
自分から謝罪を申し上げていました。
その様なわたしを見て嘲笑する者もいました。
軽蔑する者もいました。
そして、見下す者もいました。
そこでわたしが感じたことは、
『普通の人間程、一番恐ろしいものはいない』と言うことです。
『普通の人間』はわたしの生活を常に脅かしていました。
彼らは、とても狡賢く、そして、狡猾な手口でわたしを常に追い詰めていました。
そして、追い詰められたわたしが必ずたどり着いた先は小窓から微かな月明かりが見える牢獄の様な小部屋でした。
わたしはこのままここから一生出られないのでしょうか。
わたしは何も悪いことはしていません。
ただ、それはわたしの中の世界であり、一歩外へ出れば浅黒い霧が篭る淀んだ世界の中へ身を置かなければなりません。
その世界でわたしが生きて行くのはとても辛く苦しいのです。
その世界の住人との交流はわたしにとって苦痛以外の何者でもありません。
彼らとわたしはもはや別次元の存在なのです。
世の中には普通の人間の方が大多数ですから奇妙な法則により、彼らが主導権を握ります。
彼らが決める、奇妙な政治、経済、保健衛生、ルール。
わたしはその中に埋もれて身動き出来ないのです。
何が正しくて何がいけないのか。
時々分からなくなる時があります。
『普通の人間』はとても嘘をつくのが上手いと感じます。
普通の人間が居る世界では、
嘘は日常茶飯事だということ。
しかも彼らは大切な要件の時は嘘はつかず、人を平気で傷つける嘘を得意とする。
自分の都合により、嘘を使い分けている。
そして、それがより良く出来る人間を社会の中枢に備えている。
わたしから見たら道化も良いと甚だしいと感じます。
『狡い』とでもいいましょうか。
彼らのその狡猾な手口により、
わたしはいつも心を病んでおります。
その様な人間が混在する世界では、わたしは自分の身の回りの空気を吸うことで精いっぱいです。
そして、彼らが発音する言葉はわたしにとって全て雑音です。
彼らの小さい聴こえるか聴こえないかの様なあの声は、わたしを常に不安にさせます。
この様な愚濁なわたしは心が弱いのでしょうか。
わたしはひとりでは生きてはいけません。
しかし、わたしの世界にはわたしひとりしか
存在しません。
わたしの世界と現実との世界を交差しながら
生きて行くのにとても疲れを感じました。
そろそろ身も心も休め、
現実から解き放されたいと感じております。
親愛なる両親へ。
貴方の様な人間からわたしの様な異質な人物が生まれたことを後悔していると存じます。
しかしながらわたしは自分の突き詰めた道を歩んで行きたいと思っております。
それはわたしの世界で光輝くことです。
わたしの世界でわたしだけの物事で人生を
図り続けて生きたいと感じております。
親愛なる両親へ。
わたしを産んで頂いて
ありがとうございます。
これからはお身体を大切に。
末長い余生をお過ごし下さい。